合わせて、預金と投資に回すお金を分ける
積立を始める前に、手元のお金を「いつ使う予定か」で整理しましょう。
毎月の生活費、急な出費への備え、近いうちに使う予定のお金は、必要なときに使える状態で確保しておくことが大切です。例えば、引っ越し費用や出産準備費、車の買い替え費用などが挙げられます。
投資に回す金額は、こうしたお金を確保したうえで考えます。生活費や予定支出まで投資すると、必要な時期に値下がりしていても、売却して現金を用意しなければならなくなるためです。
金融庁も、家計を管理し、資産の目的や使う時期に応じて貯蓄と投資を使い分ける考え方を紹介しています。
参考:金融庁「資産形成の基本」。
2.積立額は、毎月の家計から決める
積立額を決めるときは、次の順番で家計を確認すると整理しやすくなります。
- 毎月の手取り収入を確認する。
- 家賃・食費・通信費など、必要な生活費を把握する。
- 年払いの支出や近い将来の予定支出、予備費として確保する金額を決める。
- 残った金額から、投資に回せる額を考える。
例えば、次のような家計を仮定してみます。
| 項目 | 月額 |
|---|---|
| 手取り収入 | 24万円 |
| 毎月の生活費 | 19万円 |
| 予定支出・予備費などに備える預金 | 4万円 |
| 投資に回す金額 | 1万円 |
※説明用の例です。特定の収入に対して、この積立額を推奨するものではありません。
同じ手取り収入でも、家賃や家族構成、貯蓄額、働き方によって適した金額は変わります。手元の預金が足りなければ、まず預金を増やす判断もできます。
また、毎月の積立を続けるために生活費が不足したり、カードの支払いに困ったりする場合は、設定額の見直しが必要です。
3.投資信託は、投資対象・値動き・費用を確認して選ぶ
商品を選ぶ際は、次の項目を確認しましょう。
| 確認する項目 | 確認したい内容 |
|---|---|
| 投資対象 | 国内・海外のどの地域に、株式・債券などのどの資産を通じて投資するのか |
| 値動きの要因 | 株価、金利、為替などの変化が、どのように影響するのか |
| 費用 | 保有中にかかる信託報酬など、どのような費用を負担するのか |
商品の投資方針やリスク、費用は、交付目論見書などで確認できます。目論見書は、購入前に商品の内容を理解するための説明書です。
投資信託には、保有中に運用管理費用である「信託報酬」がかかります。商品によっては、そのほかの費用もあるため、費用全体を確認しましょう。
参考:資産運用業協会の商品を選択する際のポイント、投資信託のコスト。
まずは候補の商品について、「何に投資し、どんなときに値下がりする可能性があるのか」を自分の言葉で説明できるか、確認してみてください。
4.分散は、商品の中身まで見て考える
複数の投資信託を購入していても、投資先が似ていれば、同じ地域や企業への投資が重なることがあります。
商品を追加するときは、今の保有商品と投資対象がどの程度重なるかを確認しましょう。また、NISA以外で保有している投資商品も含めると、資産全体の偏りを把握しやすくなります。
資産や地域などを分散することは、リスクを抑えるための考え方の一つです。ただし、分散していても値下がりすることはあり、元本は保証されません。
5.積立設定を活用し、最初の買付まで確認する
積立設定を使うと、毎回の購入手続きや、買うタイミングを考える負担を減らせます。
設定時には、次の点を確認しましょう。
- 購入する商品と毎回の積立額
- 利用する口座区分
- 買付日や引き落とし日
- 引き落とし口座などへの資金の準備
設定後は、最初の注文が予定どおりに行われているか、取引履歴まで確認しておくと安心です。
その後も、収入や生活費が変わったときには積立額を見直します。自動化した後も、家計に合う設定を保つことが大切です。
6.値下がりしたときは、目的・家計・リスクを確認する
評価額が下がると、「このまま続けて大丈夫だろうか」と不安になることがあります。
そのようなときは、売買の判断をする前に、次の3点を確認してみてください。
- 目的は変わっていないか
投資しているお金を使う予定が早まっていないか、確認します。 - 家計に変化はないか
収入の減少や支出の増加によって、積立が負担になっていないかを見直します。 - 商品のリスクを理解できていたか
想定していた以上に不安が大きい場合は、投資額や資産全体の配分を考え直します。
家計や目的に変化があれば、積立額の減額や買付の停止、保有資産の見直しも選択肢になります。
あらかじめ「収入が減ったら積立額を見直す」「まとまった支出が決まったら現金の確保を優先する」といった自分の基準をメモしておくと、判断を整理しやすくなります。
7.定期的に、使う時期と積立額を見直す
例えば年1回、家計と積立設定をまとめて確認する日を決めておきましょう。
確認したいのは、次のような項目です。
- 毎月の積立額に無理がないか。
- 生活費や急な出費に備える預金を確保できているか。
- 投資しているお金を使う予定は変わっていないか。
- 保有商品の内容を理解できているか。
- 資産全体の偏りが大きくなっていないか。
結婚、出産、転職、住宅購入など、生活が変わるタイミングでも見直します。
使う時期が近づいてきたお金については、必要な金額をいつ現金として確保するかも考えておきましょう。取り崩しまで含めて計画すると、投資の目的を見失いにくくなります。
積立が負担になったら、減額・停止・売却を分けて考える
家計が厳しくなったときは、何を調整したいのかを整理しましょう。
| 方法 | 変更すること | 考える場面 |
|---|---|---|
| 積立額を減らす | 今後、新しく買い付ける金額を減らす | 毎月の負担を軽くしたい |
| 買付を停止する | 新しい積立購入を止める | 一時的に預金の確保を優先したい |
| 保有商品を売却する | 持っている商品の一部または全部を換金する | 現金が必要、保有資産の配分を変えたい |
積立設定の停止と、保有商品の売却は別の手続きです。 買付を止めても、すでに保有している商品の価格は変動します。
変更後は、次回の注文予定と保有残高を確認しましょう。
また、投資信託は売却の申し込み後、代金を受け取るまでに日数がかかります。支払いに充てる場合は、商品の換金条件と入金予定日を確認してください。
NISAの積立でよくある質問
NISAでも損をすることはありますか?
あります。NISAで購入した投資信託なども価格が変動するため、売却時の金額が購入額を下回ることがあります。
また、NISA口座で生じた損失は、課税口座の利益との損益通算や、翌年以降への繰越控除ができません。
参考:国税庁「上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除」。
旧つみたてNISAで買った商品は、売却したほうがよいですか?
制度が変わったことだけを理由に、売却する必要はありません。
2023年までに旧つみたてNISAで購入した商品は、購入した年を含めて最長20年間、旧制度の非課税扱いで保有できます。例えば、2023年購入分の非課税期間は2042年末までです。
旧制度の保有分は、現行NISAの非課税保有限度額1,800万円とは別に管理されます。ただし、現行NISAへそのまま移す「ロールオーバー」はできません。
売却するかどうかは、使う時期や家計の状況、保有商品のリスクを踏まえて考えましょう。
現行NISAで売却すると、非課税枠はすぐ戻りますか?
売却した商品の購入時の金額に相当する非課税保有限度額は、翌年以降に再利用できます。
例えば、100万円で購入した商品をすべて130万円で売却した場合、翌年以降に再利用できる総枠は100万円分です。売却代金の130万円分ではありません。
また、売却しても、その年に使った年間投資枠は復活しません。翌年以降に総枠を再利用するときも、つみたて投資枠の年間120万円など、その年の年間投資枠の範囲内で買い付けます。
2つの証券会社で、同じ年にNISAの積立をできますか?
その年にNISAで新しく買い付ける金融機関は1つです。つみたて投資枠と成長投資枠を、別々の金融機関で同時に利用することもできません。
金融機関を変更した場合に、以前の金融機関へ過去に購入した商品が残ることはあります。「過去の商品を保有していること」と「その年の新規買付をすること」を分けて確認しましょう。
参考:金融庁「よくある質問」。
まとめ|家計に合う金額と、見直せる仕組みをつくろう
NISAの積立を続けるために、まず確認したいのは次の3点です。
- 生活費や予定支出に使うお金を、手元に確保できているか。
- 今の積立額を、家計に無理なく組み込めているか。
- 商品の投資対象やリスクを、自分の言葉で説明できるか。
積立額は、収入や暮らしに合わせて調整できます。設定した金額を続けることが負担になったら、減額や買付の停止も含めて見直しましょう。
今日できる一歩として、「積立の目的」「毎月の設定額」「次に見直す時期」の3つを書き出してみてください。自分のお金の使い道と投資の関係を整理できます。


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